即日退職って可能?損害賠償請求されたりしない?
即日退職したくても、そもそも法律的に認められるかどうか、会社から損害賠償を請求されたりしないか不安をともなうもの。このページでは、会社の社内規定に「退職は2か月前までに申し出る必要がある」と定められているケースを例に詳しく解説しています。いわゆるブラック企業から即日脱出したい場合には特に参考にしてください。
そもそも一方的に即日退職なんてできる?
たとえば会社の社内規定に「退職は2か月前までに申し出る必要がある」と定められているケースで考えてみましょう。
社内規定というのは会社と社員の間の労働契約の基本となるルールです。お互いに合意して作られたルールなので、当然それに従わなくてはならない、つまり即日退職なんて非現実的で2か月は辞められない、そう思ってしまうのが普通です。
でも、法律上は退職日の2週間前までに退職する意思を会社側に明らかにすれば退職できることになっています。社内規定よりも法律上の定めの方が上位になるというわけです。
「とは言っても、2週間は待たないといけないなら即日退職はできないってことでしょ?」と言われてしまいそうですが、その期間を短くして限りなく0日に近づけられる工夫があります。
未消化の有給休暇を使えば即日退職できることも
勤務期間が半年を超えている状態であれば、未消化の有給休暇をうまく使い、今日を最後に退職するといったことも夢ではありません。
有給休暇の日数は、法律で働き続けた期間に応じて下の表のようにもらえる日数が決められています。
【勤務期間ごとに決められた有給休暇日数】
勤務した期間 |
与えられる有給休暇 |
6か月 |
10日 |
1年半 |
11日 |
2年半 |
12日 |
3年半 |
14日 |
4年半 |
16日 |
5年半 |
18日 |
6年半以上 |
20日 |
※詳しくは厚生労働省のリーフレットで確認できます
未消化の有給休暇が残っていれば、残りの有給休暇をぜんぶ使い切った日を退職日にして申し出ればいいわけです。それだけで退職日が2週間以上先になることがあります。
残されている有給休暇を調べるときは、去年の未消化分も計算に入れてくださいね。有給休暇を使い切れずに1年間が過ぎてしまうことはよくありますが、そういう場合でも、使えなかった分は翌年に繰り越されます。
有給休暇の残り具合によっては、これ以上出勤することなく退職できるか、即日退職に近い形にできるうえ、有給休暇をとっている間の賃金ももらえるわけなのでチェックしてみてください。
ちなみに会社が、「業務に支障がでるから有給休暇はとらせない」という行為は認められていませんし、ましてや「そんな形での退職は認めない」というのは違法なので、堂々としていて大丈夫です。後々もめた場合に備えて、退職届や有給休暇の届出書などはコピーをとって証拠として残しておくと安心です。
2週間待たずに退職できる場合もある
残りの有給休暇日数に頼らなくても、会社側に違法行為がある場合は、社員は即時に退職することができます。
たとえば、異常な長時間残業や残業代の不払いなど。そういった会社側の違法行為が明らかな場合は、労働契約そのものがはたんしているわけなので、すぐに退職することが法律で認められています。
有給休暇がたまっていなく場合でも、すぐに退職届を出して一方的に退職してしまっても問題にならないケースになります。
会社から損害賠償を求められたら?
ブラックな会社だと次のようなことを言いかねません。
- 急に辞められたら代わりの社員を探さないとならない
- お前の教育に会社がどれだけ金をかけたと思ってるんだ
- ノルマの未達もあって会社の売上に穴をあけたままにするのか
そして、その次に出てくる言葉が、「これらの会社の損害を賠償してからやめろ!」といったように、損害賠償をちらつかせたりすることがあります。
ただ結論から言うと、社員側に損害賠償に応じる必要はありません。
新たな人材を採用するための費用や教育費は、通常の経営コストとして会社が負担しなければならないものです。
また、ノルマの未達も問題外です。たまに、仕事でミスして損害賠償を請求されるといった話を聞くことがありますが、基本的に社員が賠償金を払わなければならないケースはほぼありません。
飲食店で食器を割ってしまったとか、在庫管理で商品の数があわないといったミスをして、会社に損害が発生しても賠償する義務はありません。なぜならそのようなミスは日常的に起こるもので、ミスのない労働などありえないからです。なのでノルマの未達などという理由は、食器を割ることにすら及ばない議論の余地のない話です。
まとめ
会社の就業規則などにすぐに退職できない規定があったとしても、法律上は2週間前に申し出れば会社の許可なく自由に退職することができます。
たまった有給休暇をぜんぶ消化した日を退職日にする工夫をすることで、即日退職が可能なる場合があります。
また、退職理由が会社側の違法行為が原因であるなら、悩むことなく即日退職も可能になっています。
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