試用期間で退職したい場合の対策と方法
大きな理想を持って入社したのに実際仕事をしてみると、思っていたものとは違い続けていけるか不安になった、という人も多いのではないでしょうか。本来ならば頑張って続けるべきですが、どうしても難しいと感じた場合は退職するという選択を考えなければならないでしょう。しかし、入社してすぐの試用期間中に退職することは問題ないのでしょうか。また、ルールやマナーとしてはどんなものがあるのでしょうか?今回は、試用期間中の退職について悩んでいる人に必読の「試用期間で退職したい場合の対策と方法」をご紹介します。
そもそも試用期間とは?
新しい会社に入社して、日が浅いうちに退職する場合には、まずは試用期間におけるルールを知っておく必要があります。試用期間とは、会社が入社した社員の適性を観察・評価するための期間のことです。長期雇用を前提としており、1~6カ月の期間が一般的ですが、会社によっては1年になることもあります。試用期間のうちは仮採用という扱いになり、入社したとはいえ正式な社員という立場ではないと認識される例が多くみられます。会社は、設けた試用期間における社員の勤務状況を評価し、その後正式に採用するかどうかを判断します。
また、試用期間中の会社側のルールとして、経歴詐称や出勤不良、あるいは勤務態度が悪いなどの正当な理由がない限り、試用期間中の社員を解雇することはできません。ただし試用期間開始後14日以内は例外として、解雇することが可能としています。その場合は即時解雇ができるとされてはいますが、通常は30日前での解雇予告を行うか、それに見合った給与を支払う必要があります。
試用期間中の退職ルールは?
会社側は試用期間中に該当社員の適性を評価しますが、評価される社員にとっても、試用期間はその会社で勤めていけるかを見極める大事な期間といえます。どうしても続けられないと感じた場合には、試用期間中での退職ルールにのっとって手続きをすすめる必要があります。ルールはいくつかありますが、まずは「入社した日の辞職は極力避ける」ということです。
そもそも会社は長期雇用する前提で採用しており、入社後しばらくはいわば「仮契約」の状態です。即日退職では、会社が社員を評価する時間もありません。正当な理由がない限りは、たとえ「仮契約」であっても契約違反と見なされてしまうでしょう。自己都合で退職する場合は、試用期間開始後2週間で可能となっています。入社して間もなく退職を考えたら、すぐに辞めようとするのではなく、2週間の試用期間をきちんと経てからなるべく早く会社に伝えることが大切です。
辞めたくなったときに伝える退職理由
試用期間開始後14日間が過ぎたのち、やはり続けるのは無理だと判断した場合は退職に向けた準備をしましょう。最初に考えなければならないのは退職の理由です。退職理由としては、「会社の雰囲気が合わない」「求めていた業務(環境)と異なる」「一身上の都合(病気・ケガ・介護等)」などがあげられますが、退職の理由を考える際に気を付けておきたいのは、「会社にとって一番受け入れやすい理由はなにか」ということです。
たとえば家族の介護や手伝いを理由にした場合、入社する前に告知できなかったのか、あるいはそんな短時間に状況が急展開するのかなど不信感を持たれてしまう可能性があります。また、本人のケガや病気の場合は、診断書などの提出を求められたり、休職を検討するよう促されることもあるため、病気や家族のケアを理由に退職を願い出るというのは、あまりおすすめできるものではありません。かといって社風が合わなかった、あるいは望んでいた業務や環境と異なるといった理由をつけるのは、なんとなく気がひけるという人もいるかもしれませんが、これから長く仕事をしていくうえで、そうした「フィーリング」は自分にとっても会社にとってもとても重要なものです。
一般的に受け入れやすいであろう理由を考えるのではなく、自分が感じたままを素直に伝えれば、会社も辞職の意思を受け入れやすくなるでしょう。入社でも退職でも、大切なのは採用してくれた会社に対して、誠実な態度で臨むことです。
スムーズに退職するためのポイント
試用期間中に退職するためにはどのような点に注意するべきでしょうか。まずは退職の意思を伝えるために、上司にメールでアポイントを取りましょう。退職というのは双方にとって重要な事柄です。立ち話で済ませるのではなく、大事な相談をしたいという形で時間を取ってもらうことをお願いしましょう。上司に時間を作ってもらったら、退職したい旨をはっきりと上司に伝えましょう。
また、退職は言葉だけで伝えるのではなく、辞める意思を書面で表明した退職願が必要です。しかし「これを受理してください」と退職願を突き出して終わりではありません。どうして退職を決めたのか上司にくわしく説明することが大切です。ポイントとしては、採用してもらったのに申し訳ないというおわびの気持ちはもちろん、「こういう理想をもっていた」などの退職という決断に至った経緯や、直属の上司に対しての感謝の気持ちなどを忘れずに伝えることです。それがしっかりと伝われば、おおむね上司の心証は悪くはないでしょう。もしその席で、退職の理由となった事柄を会社が考慮し、改善してくれる方向になれば、仕事を続けることができるかもしれません。
まとめ
試用期間中の退職はできるだけ避けたいものです。しかし辞めたいと決心した場合は早めに退職の意思を伝えることが大切です。試用期間中にいいづらいからと我慢していては、時間も無駄になり余計なストレスがかかるうえ、会社にもより迷惑をかける結果になる可能性もあります。双方が納得のいくような、なるべく円満な退職にもっていけるよう、早めの行動と配慮が必要です。