残業代が出ないのはどんな時?対処法は?

会社が残業代を払ってくれない……。こんな悩みを抱えながら仕事をしていませんか? 残業を認めない会社であっても、労働基準法の関係上、法定労働時間を超えて働いた分の給与はきちんと支払われなければなりません。今回は、残業代が支給されないケースや支給されなかったときの対処方法などをご紹介します。これまでに不当な処遇を受けている方は、行動を起こしてみてはいかがでしょうか。

 

まずは仕事内容の効率化ができないかを見直そう

残業は、なるべくやらないに越したことはありません。「毎日残業ばかり……」と嘆く前に、日ごろの作業具合を振り返って効率化できる部分はないか、無駄なところはないか見直してみましょう。

 

まずは、「なぜ定時で仕事が終わらないのか」その原因解明から始めてください。ひょっとすると、これまで意識してこなかった課題や欠点が見えてくるかもしれません。作業がなかなかはかどらない原因として、「作業スピードそのものが遅い」「仕事の優先順位を付けていない」「取りかかる時間が人より遅い」などがあります。原因に応じた解決手段を的確に選択することが大切です。

 

仕事に対する取り組み方が、自分でなかなか客観視できない部分もあるでしょう。そんなときは、同僚や先輩にアドバイスを求めてください。同じ仕事でも、「ここはもっと手を抜いてもよい」「この作業はこの方法でもっと効率化できる」などの具体的な対策が見つかるはずです。周りで働く人たちの助けを借りることもまた、効率アップのための有効手段と言えるでしょう。

 

雇用条件に残業代が出ない理由や仕組みがないかをチェック

会社の規則や雇用条件に問題があって、残業代が出ないケースもあります。働く会社で次のような雇用条件・規則・ルールがないかチェックしてください。

 

みなし残業で働いている

雇用契約書の給料規則の欄に「固定残業代を含む」と記載されていないでしょうか? こちらはいわゆる「みなし残業」というもので、この記載がある場合は基本給の中に固定残業代が含まれている場合が多いです。例えば、「基本給20万円(固定残業30時間分の給与を含む)」と書かれた給与条件がこれに当たります。この場合、決められた固定残業の時間をオーバーして働いた分は、残業代を支払ってもらうことができます。

 

ちなみに、給与条件の欄に固定残業の時間や正確な支給額が記載されていないみなし残業は無効です。雇用契約書の内容をきちんと確認しましょう。

管理職なので残業代が出ない

労働基準法には、「管理監督者に対しては、割増賃金を支払わなくてよい」とする規定があります。これを理由に残業代を支給しない会社もあり、本人もそれが当然だと思っているかもしれません。しかし、労働基準法が定めるところの「管理監督者」にはきちんとした定義がある点に注意が必要です。

 

その定義とは、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な関係にある者」です。つまり、会社が自社の都合で設けた「部長」「課長」「副店長」などの役職名ではなく、職務内容や権限、待遇などの実態面を見て判断されます。管理職といっても名ばかりで、実際は他の従業員と変わらない労務環境で働いている場合は、残業代の支給要件を満たすと考えてよいでしょう。

年俸制で働いている

「年俸制だから残業代が出ないのは当たり前」と考えていませんか? 年俸制であったとしても、管理監督者や裁量労働制以外の雇用契約の場合は、一般のサラリーマンと同じく、残業代の支給が受けられます。

 

また、みなし残業制度のように、「年俸に30時間の残業代を含む」と書かれた雇用契約であっても、30時間以上働いた場合は残業代が支払われます。年俸制だからといって残業代は出ないと早合点しないようにしましょう。

 

未払い残業代は請求できるのか?その方法とは

残業代を支払わない会社に対して、従業員は未払い残業代を請求できます。こちらでは、未払い残業代を請求するための方法についてお伝えします。

 

まずは、請求の権利を正当に主張できる証拠書類を確保しましょう。具体的には、「雇用契約書」「就業規則書」「始業・終業時間を立証できる資料」が挙げられます。定時オーバーで働いた事実を立証し、正確な残業代を算出するための有力ツールとなるのが、タイムカードです。しかし、会社によっては従業員の勤務時間を管理できていないケースもあり、その場合は他の手段に頼らなければなりません。業務終了を示す報告メールや、帰宅時のタクシー代の領収書、業務日報なども勤務時間を立証する証拠となりますので、きちんと保管・管理しておくようにしましょう。

 

証拠を確保できたら、次は会社との交渉に入ります。証拠を元に自分で交渉することもできますが、不安な方は弁護士に依頼しましょう。それでも交渉に応じてもらえないときは、内容証明郵便で請求を行うか、労働基準監督署への申告を行います。他にも、通常裁判や労働裁判に持ち込み、請求を求めることもできます。受け取れるはずの未払い残業代の請求をご検討するのであれば、まずは証拠を集めることから始めましょう。

 

まとめ

仕事は定時で終わるのが理想ですが、やむなく残業した分は給与というかたちで報酬が受けられます。労働基準法に反して残業代の支給を拒否される場合、その理由をまず探ってみましょう。いざというとき請求するためにも、残業を立証する書類の確保も忘れずに。転職の決断は、それら必要なことをやってからでも遅くありません。

スポンサーリンク