労働組合がない会社はブラック?労組がないときに身を守る方法

労働組合のない会社を前にすると、ブラック企業なのかなあ?働く側のデメリットってある?と気になるもの。転職活動での会社選びは慎重になるのは当然です。
このページでは、労働組合のない会社は避けた方がいい?労働組合がないことのデメリットは?といった応募前の疑問に答えるとともに、入社後に万一、会社と労働問題の闘いになった場合に、労働組合がないハンデを埋める秘策を紹介しています。

 

労働組合のおさらい

労働組合って何?という部分に勘違いがあるといけないので、さらっとおさらい(わかってるよ、という場合は飛ばしてください)。労働組合はかんたんに言うと、私たち労働者の権利を守る団体。もう少し具体的に言うと、会社側に自分たちの労働条件の改善を訴えたり、不当な解雇を撤回させるなど労働者の権利を守るためにある団体で、会社側と交渉する権利などが憲法でちゃんと保障されています。

 

労働組合がない会社はブラック企業?

転職活動中の人から「労働組合がない会社はブラック企業ですか?」と聞かれることがあります。答えは半分正解で半分不正解です。勘違いされやすいのですが、労働組合は会社側が作るものではなくて、私たち社員側が自主的に作るものです。

 

労働組合がないのは、組合が存在しなくても労使関係がうまくいっている証拠ともいえるし、組合を作ることに会社側が圧力をかけているからかもしれません。さすがに後者だと問題ですが、少なくとも労働組合がない会社がそのままブラック企業だとは言い切れません。

 

なぜなら、労働組合に加入している労働者の割合は17.7%(厚生労働省「平成28年労働組合基礎調査の概況」より)。残りの80%以上の労働者がブラック企業で働いていたら大変ですからね。ただ、ブラック企業には労働組合がほとんどないという実態はあります。

 

労働組合がないデメリット2つ

労働組合がない会社で労働問題に直面したときのデメリットは、「力の差で負けてしまう」「法の後ろだてがない」の2つです。

力の差が歴然

そもそも、私たち一労働者と会社の間には圧倒的な力の差があります。ひとりでは会社の圧力に太刀打ちできません。労働組合があれば、ひとりでは声をあげられないことでも、労働組合の仲間といっしょなら声をあげやすいし、声も大きくなります。その手を使えないのは、ひとりぼっちで強国に戦争をいどむようなもので、力関係でも心理面でもハンデは大きいです。

法の後ろだてがない

労働組合は憲法で会社側と団体交渉をする権利を保障されています。なので、会社側は正当な理由なく交渉を拒否できません。要するに無責任でいい加減な対応をとれず、対等な相手として交渉の場に立つ必要があります。それが労働組合がないがために、社員ひとりで立ち向かっても、聞く耳をもたない会社に適当にあしらわれて話が進まないか、解雇といった不利益な扱いをうけかねません。

 

労働組合があっても味方になってくれないとき

労働組合があればひとまず安心、と思いたいところですが、「労働組合はあっても味方になってくれない」という悲しいケースもあります。というか、ぜんぜん使えない場合が少なくない、と言ってしまっても良いかもしれません。

 

彼らは基本的に会社サイドについていて、従業員のことを考えずに、会社の都合や利益のことを中心に考えています。そういう労働組合に相談に行ったところで、上層部にチクられて不利な扱いを受けるといったケースも少なくありません。さらに最悪なケースとして、「御用組合」と呼ばれて会社側の都合のよいように動かされている労働組合も残念ながら存在します

 

。早い話が組合組織が形式的にあるだけで、会社が間接的に介入して実権を握っている労働組合です。こういう労働組合にかけこんで相談しても、味方になってくれないどころか、会社側と同じことを言って労働者の言い分を否定したりします。そういう場合も労働組合が存在しないのと同じことなので、この後で説明する方法を一度考えてみてほしいです。

 

社外の労働組合(ユニオン)を味方につけよう

会社に労働組合がなかったり、あっても味方になってくれないと、ひとりで会社と交渉することに尻込みしてしまいます。でも、そんな時こそ「ユニオン」と呼ばれている心強い社外の労働組合に入ることができます。

 

ユニオンは地域や業種ごとに結成されている労働組合で、ひとりでも、パート・派遣でも加入することができます。中には失業中でも加入できるところがあります。「労働組合は会社ごとに存在するもの」という思い込みがあると疑問に思うかもしれませんが、実はその思い込みが誤りです。法律上、特定の企業を超えて、いろいろな会社の従業員が集まって構成されている労働組合もちゃんと認められています。

 

少し余談になりますが、確かに日本では労働組合は会社ごとに作られていることが多いですが、実は世界的に見ればそれは例外的で、アメリカやユーロッパでは、複数の会社の従業員が集まって構成されている労働組合がむしろ一般的です。

ユニオンは地域や業種ごとに存在する

都道府県や市町村単位、東京のような大きなエリアになると区といった単位で組織されているほか、業界ごとでもいろいろな会社の従業員が集まって組織されています。

 

「会社ごとに作られた労働組合じゃないし本当に頼りになるのかなー?」と不安に思うかもしれませんで。でも、企業の枠をこえていろいろな会社の労働問題を広く知っていることでむしろ広い視野で交渉でき、また会社と距離をおいている分、たんたんと交渉ができるメリットがあります。労働組合の専門家がいっしょに話し合いに加わってくれて、会社に対して違法行為をズバッと指摘したり、給料アップの交渉をしてくれたりもするので、ものすごく心強い存在です。

 

なお、ユニオンという名称は、会社ごとに作られた労働組合と区別するためのものなので、労働組合の位置づけは変わりません。(要検討→「コミュニティ・ユニオン」で検索すれば、ホームページがすぐ見つけられるのでぜひ知っておいてほしいです。)

 

2名いれば労働組合を作れる

あまり現実的ではありませんが、自分で労働組合を作ってしまうという方法もあります。労働組合を作るにはいくつかの条件がありますが、労働者が2名以上集まれば作ることができます。会社の同僚でもいいし、場合によっては同一業種や同一地域など別の会社の社員(給料で生活する人)をひとり探せば人数的な条件はクリアできます。

 

実際に結成しようとしたら専門的な知識が必要なので、すでに結成されている労働組合や上で説明したユニオン、労働法に詳しい弁護士などと相談しながら進めていく必要がありますが、やる気さえあればだれでもチャレンジできます。

 

まとめ

労働組合に加入していない人は労働者の約8割。大部分が労働組合がない、もしくは加入していないのが実態。労働組合があったとしても、会社側の都合のよいように動かされているケースも多くことも考えると、労働組合があれば安心、なければブラック企業だとは言いきれません。
労働組合がないと、万一会社と闘うことになったときにハンデがありますが、あきらめる必要はなく、社外の労働組合(ユニオン)にひとりでも加入できます。労働組合がないという穴を埋めて身を守ることができるので安心です。

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