みなし残業はどのラインから違法になる?

みなし残業とは、会社側があらかじめ残業分を給料に反映させて支給している分のことを言います。通常、残業があればその分の給与が上乗せされますが、その時間がみなし分以内であれば、毎月支給される給与以上のものはもらうことができません。会社側は残業代の算出の手間を省くなどのメリットがありますが、賃金の設定方法などを間違えると違法になる可能性があります。

 

みなし残業ってなに?

みなし残業のシステムを導入している会社は、固定給の中に残業代を含んで支給しています。ただし、時間を無制限に設定することはできません。労働における対価は、労働時間と計算された上できちんと設定されなければならないので、月に「30時間」「40時間」といった形で、みなし残業分の給与が決められています。

 

このみなし残業分は、残業時間が設定された時間に達していなくても受け取ることができます。そもそも残業は労働基準法の観点からも、しなくて良いに越したことはありません。会社側としては「もしも仕事が終わらなかった場合にだけ、残業をお願いします」というコンセプトが基本なので、定時で仕事が終われば退社しても良いわけです。

 

また、みなし分の時間を超えた残業は、その分が上乗せされて支払われなければなりません。ところが実際は、給料を払っているのだからという会社側のプレッシャーもあって、定時で帰れる人は少ないというのが現状です。

 

みなし残業はどういうケースに違法になる?

みなし残業が違法となる可能性が高い代表的な例に、最低賃金を下回っているという場合があります。例えば東京都の最低賃金は2017年10月時点で時給958円と設定されています。都内で30時間のみなし残業代を2万円と設定している会社があったとします。30時間を2万円で割ると、1時間あたり約666円という計算になります。これでは最低賃金を下回っているので違法となる可能性が高いというわけです。同じ理由で超過分の残業代も最低賃金以上の金額で支払われなければ違法となります。

 

そもそも労働基準法では原則として1カ月の所定労働日数が23日、1日の所定労働時間は8時間というように設定されています。強制的に残業を強いることはそれだけで違法となってしまいます。そこで、みなし労働時間を適用する場合、その会社は労働基準監督署に届け出をしておかなければなりません。厳しい審査をクリアしてはじめて、このシステムを導入することが出来るようになっています。会社の残業制度に疑問があった場合、まずは合法的にみなし労働が適用されているのかをチェックしてみましょう。届け出がなかった場合、会社側はどんないいわけもすることが出来なくなります。

 

みなし残業のトラブルで悩んでいる場合の対処法

人手を補うために、説明会のときにだけ甘いことを言って求人応募率を上げようとする、違法性の高い会社も存在します。好条件だと思って就職したが、実際に働いてみると全然話が違っていたというケースです。このようなトラブルを防ぐためにも、みなし残業制度の説明の際は、きちんとメモや録音をとっておくことが望ましいです。後々のらりくらりと誤魔化されるようなことがあったとしても、動かぬ証拠さえあれば、後々さかのぼって不足分を請求することができる可能性があります。

 

会社側としても、確実に負けてしまう裁判を起こされて評判を下げるようなことはしたくないと考えるからです。また、労働基準監督署に目をつけられて、その違法性が極めて重いと判断された場合は、行政の判断により最悪の場合は営業停止にされてしまう可能性もあります。

 

毎日の労働時間も正確に記録しておくようにしましょう。出社時間と退社時間をうやむやにしようとする会社は違法なことをしている可能性が高いので、労働時間の管理システムがどのようになっているのか注意して、把握しておく必要があります。労働時間の記録は、違法性を主張するだけでなく、過労によって体調を崩してしまった場合などの労災認定にも役立ちます。

 

つらい状況なら我慢しないで相談しよう

日本では、過労によるトラブルを防ぐための働き方改革が報道などで取り上げられる中、一方では「忖度」という言葉が一時期頻繁に使われるようなこともありました。暗黙の了解の中で、支払われているみなし分はきっちりと働かなければならないというプレッシャーのもと、場合によってはその時間を超過しても、上司に嫌われるのを恐れてサービス残業をしてしまうという人もいます。

 

仕事の内容とその時間、そして給与というのは働く人たちの人生に大きく影響します。文句も言わずに長時間働いてくれる人間は会社側にとっては貴重な存在でしょう。しかし、それは「都合の良い人間」という見方においてです。一生懸命に働くことは大切ですが、自分の身は自分で守らなければならないというのも現実です。

 

みなし残業に違法性を感じた場合は、速やかに弁護士や然るべき機関に相談しましょう。ルールや規則は感情に揺さぶられるように設定されていません。違法性の証拠さえあれば、システムを正すことができます。一時的に会社に煙たがられることがあったとしても、その行動こそが自分自身と、また仕事仲間を救うことにもつながり、長い目で見れば会社そのものを健全にするきっかけにもなるわけです。

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