転職すると住宅ローン審査にどう影響する?

転職のタイミングは人それぞれですが、住宅ローンを考えている時は注意が必要。実は住宅ローンの審査上、転職は大きな判断材料になっていて転職のタイミングがローン審査を左右します。

 

このページでは住宅ローン申込みを転職後、転職前に行った場合の比較、ベストなタイミングについて解説しています。知っているのと知らないのでは天地の差があるのでぜひチェックしてみてください。

 

転職後の住宅ローン申込みはハードルが高い

この記事を読む前からおおかた予想していると思いますが、住宅ローンを申込む直前での転職は審査上とても不利です。

 

なぜ転職が不利になるかというと、融資する側の金融機関の目線で考えると分かりやすいのですが、銀行にとってはとにもかくにも融資したお金が確実に返済してくれさえすればOKなわけです。

 

その見込みがあるかどうかを何で判断するかというと「返済能力」で、その返済能力は「この先ずっと何年も安定した収入が継続して見込めるか」その一点で判断されます。住宅ローンはどうしても返済が長期にわたるのでそういう見方をされます。

 

そんな「安定」「継続」を重視する住宅ローン審査で、勤続年数が短い=転職して間もないと分かれば、 金融機関 としては不安でいっぱいになってしまうわけです。転職にどんな事情があろうと、転職で年収アップしようが基本的には考慮されません。

 

日本でもだいぶ転職に対する見方が変わってきて、転職があまり珍しいことではなくなっているとはいえ、信用がベースになる取引では勤続年数を重視する事情は変わっていません。これはクレジットカードやカードローンでも同じです。

 

なので、転職後の住宅ローン申込みはとてもハードルが高いと覚悟した方がよいです。 最近は勤務年数1年未満でも住宅ローンを受け付けている金融機関もありますが、できることなら転職後3年くらい経ったタイミングが理想です。

 

豆知識 ~ 勤続年数重視は会社社長の住宅ローン審査でも同じ!

 

勤続年数重視の審査スタンスは、会社社長の申込みであればひいきめに見られる、といったことはありません。当サイト編集長も勤続年数が短いことでイタイ目にあった経験があり、そのことを痛感しています。

 

25年間勤務した会社を辞めた後、個人事業主として5年間、事業経験を積んだあと法人化して社長就任、その1年後に住宅ローンを申し込んだのですが、なんと勤続年数1年とジャッジされて行き詰まってしまいました。事業として6年間の業歴があって、収入も安定しているのにも関わらず、法人化して1年という年数だけがクローズアップされたわけです。おそらく法人化しなかったら何の問題もなかったでしょう。

 

なんとも悔しい話ですが、残念ながら、どうしても形式を重んじる風土が金融機関にはまだ残っているので、転職はマイナスのインパクトが大きいと思っていて大きくはずれません。

 

転職前の駆け込み申込みもリスキー

転職した後の住宅ローンは不利なので、転職する前に駆け込みで住宅ローンを組もうと考えるのは心情的にはよくわかります。

 

ただその方法もリスキーです。金融機関は申込書に書かれた内容を前提に審査を行うので、審査段階で転職の事実がわかると審査のやり直しになります。もし再審査となったら言うまでもないですが、ハンパなくハードルが高くなってしまいます。

 

「じゃあ、審査結果が出てからなら転職してもいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、これにも問題があります。住宅物件を購入する場合、住宅ローンを申込んで事前審査が通った後、物件の引渡しまでにタイムラグが生じます。特に新築の場合は長期間になることが多いですよね。

 

住宅ローンは物件が完成して引渡しが行われる直前に実行されるため、事前審査から実行までの期間に信用にマイナスの変化があると再審査となります。退職とか転職は収入の源が不安定になるだけに審査上かなり痛手です。

 

結果的に、入居直前にローン審査が下りないばかりか、仲介業者との間で手付金の没収や違約金の請求といったペナルティが課せられるリスクもあります。倒産やリストラなど企業の都合で転職を余儀なくされた時は手付金が返還されるケースがありますが、そういったリスクを抱えていることも知っておく必要があります。

 

ちなみに、 転職の事実を金融機関に伝えないと、「金融機関への報告義務」に違反することになり、住宅ローン契約自体が白紙になる可能性もあるので注意が必要です。

 

転職のベストタイミングは?

じゃあ、住宅ローンに影響が及ばない転職タイミングはいつかというと、審査が終了し住宅ローンの返済をし始めた頃がベストタイミングです。住宅ローンの支払いが始まれば、基本的に転職しても実質的な影響はありません。

 

なぜなら住宅ローンは最長なら35年間という長期の取引なので、その間に転職とか仕事を失うとかいったことは珍しくないからです。というよりも、金融機関は融資した後に不安材料が出たからといって、全額返してくれ!とは言えないので、返済の滞りがない限り手を出しようがないというのが現実的なところです。

 

住宅ローンを組む前の転職でも審査が通りやすいケース

金融機関が住宅ローンの審査を通すには、安定して返済できるかどうかを重視するのは説明した通りです。なので、ヘッドハンティングなど現在よりも収入がアップするとか、同じグループ内での転職といったケースは金融機関の受け止め方が少し違ってくることがあります。

 

同じ業界で大手企業に転職、資格を活かして専門職へ転職などキャリアに統一性があり、キャリアアップとなりえる転職なら審査で考慮される可能性があります。

 

金融機関によって審査のポイントが違うので一概にはいえませんが、相談してみる価値はあります。金融機関は企業融資が少なくなったことから個人の融資先を積極開拓しています。そういう環境下なので、勤続年数を柔軟にみる金融機関もあり、住宅ローン商品の選択肢も多くなっているので、手間をおしまず幅広にあたってみるのもいいと思います。

 

まとめ

転職して間もない段階での住宅ローン審査は、返済能力の観点で不利な評価をされやすいです。かといって、転職前の駆け込み申込みなら大丈夫かというと、事前審査でOKが出ても融資実行までに転職の事実がわかれば取り消されるリスクがあります。

 

住宅ローン審査に影響のない転職のベストタイミングは住宅ローンの返済が開始された後ですが、そんなうまい具合に事が運ばないのが常です。少し汗をかいて複数の金融機関をあたってみるか、もしくは住宅購入のタイミングを練り直してみる冷静さも必要かもしれません。

 

 

 

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