トライアル雇用・併用求人の仕組み、メリット・デメリット

現代社会では正社員・契約社員・派遣社員・紹介予定派遣など、多種多様な雇用の仕方が存在します。そんな中、最近注目されているのは「トライアル雇用・トライアル雇用併用」です。特にトライアル雇用併用求人が多く、一定の条件を満たせば未経験者でも就職できる可能性があります。これらの雇用の仕組みや、メリット・デメリットについて紹介します。

 

トライアル雇用・トライアル雇用併用とはどのような仕組み?

まず、「トライアル雇用」とは、雇用保険制度に定められている正式なシステムのことです。簡単に言えば就業経験がない未経験者でも、原則3ヶ月間企業で「お試し」として働ける制度を意味します。ちなみに「トライアル雇用併用」は、トライアル雇用と一般求人を同時に出していることで、企業側は通常の求人と併用してトライアル雇用を募集することも可能です。

 

システム自体は紹介予定派遣と似ていますが、トライアル雇用には利用できる対象者が決まっています。就労経験のない職業に就くことを希望する、学校卒業後3年以内で安定した職業に就いていないなどの条件が代表的な例です。つまり、トライアル雇用は社会人としての十分な知識や技術がなく、就職が難しい人向けに用意されている制度と言えるでしょう。その他にトライアル雇用前2年以内に2回以上離職や転職をした、または1年以上離職中(パートやアルバイトもしていない)の人もトライアル雇用の対象者です。母子・父子家庭の母か父、生活保護受給者などさまざまな理由によって就職が難しい人も支援して貰えます。逆に対象外となるのは、安定した職に就いている・自営業者・学生・トライル雇用中の人です。

 

トライアル雇用対象者だけではなく、企業側にもいくつかの条件があります。企業側の条件は30以上の項目を全て満たし、審査に通過して初めてトライアル雇用を利用できます。まず、雇用保険を適用し、トライアル雇用に必要な手続きを行っていることが大前提です。これらの条件をクリアした上で、労働保険料を滞納していない・労働者名簿や賃金台帳を管理しているといった条件を満たす必要があります。
一般トライアルコース以外に重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者が利用できる、「障害者トライアルコース」が設けられています。障害者トライアルコースは一般コースと若干条件が異なり、求人紹介前に6ヶ月以上離職していれば対象者に含まれるのです。

 

トライアル雇用で働くことのメリットとは

トライアル雇用対象者のメリットは、未経験の業界や職種でも応募できることです。正社員として採用される前に業務に必要なスキルを磨き、企業や仕事に対する理解度を深めることができます。正社員で働くようになればギャップを感じることが少なく、早期離職を防げます。個人と企業の意見が合致して初めて正社員採用となるため、合っていないと感じた時は採用を辞退することも可能です。実際に働くことで自分に合った企業を見つけ、就職後の適性不一致を防げるメリットがあります。既に人間関係が構築された状態で働けるため、精神的負担が少ないこともトライアル雇用の特徴と言えるでしょう。

 

また、トライアル雇用は書類審査を行わず、面接から試験がスタートします。履歴書や職務経歴書より自分の魅力をアピールしやすく、採用までのハードルが低いです。面接を通過すれば実際に働いて自分の良さをアピールでき、正社員登用までのハードルも下がります。つまり、志望している企業がトライアル雇用併用を行っている場合、条件を満たせばトライアル雇用で応募した方が採用される可能性が高いということです。

 

企業側のメリットとして、トライアル雇用を実施すれば奨励金が支給されることが挙げられます。奨励金は対象者1人につき月額4万円、最長3ヶ月で12万円です。一定の条件を満たせば月額5万円、障害者トライアルコースなら月額8万円支給されるケースもあります。コストを抑えて新しい人材を確保できることがトライアル雇用の魅力です。さらに、その人の働く姿から適性を判断することで、書類審査や面接より信憑性の高い情報を得られます。

 

トライアル雇用にはデメリットも

トライアル雇用を利用する際、奨励金目当ての悪質な企業に注意が必要です。本採用時に給料を減額する、短期間だけ派遣社員の代わりにトライアル雇用を活用するといったトラブルに遭うリスクがあります。悪質な企業は経済的に余裕がないためにトライアル雇用を悪用しているケースが多く、ホワイト企業を探すことが大切です。本当に就職希望者のことを考えてトライアル雇用を実施している企業は、経済的に余裕があっても取り入れているケースが目立っています。企業の業績や口コミをチェックすればホワイト企業か判断できるので、試してみてください。

 

また、企業から正社員採用を断られた場合、3ヶ月で失業して職歴に残る注意点があります。今後のキャリアプランを考えながら自分に合った企業を探し、慎重にトライアル雇用を活用することが大切です。

 

トライアル雇用求人は応募者・企業両者にとってメリットが大きい

このようにトライアル雇用はいくつかの注意点があるものの、就職困難者が正社員として採用される可能性があるという大きなメリットがあります。企業側にもコストを抑えられる・その人の本当の良さが分かるなど、応募者と企業両者にとってメリットが大きいです。実際はトライアル雇用の約80%が正社員に登用されているので、就職が難しい人はリスクがあってもトライアル雇用を活用した方が良いかもしれません。トライアル雇用併用の場合はトライアル雇用と一般的な求人、どちらで応募するかによって給料などの条件が異なるケースがあります。正社員登用を目指す人は、企業が提示しているトライアル雇用の条件を確認した上で応募してください。

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