いきなり給料下げられたのは違法?同意してしまったら?

経営が厳しいからとか不況だからといって、会社からいきなり給料を下げられたら、たまったもんじゃありません。ただ、一方的な給料カットは無効なことがほとんどです。
このページではそもそも会社の行為は法律上どうなのか?給料減額に同意してサインしてしまったら従うしかないのか?といった点について解説しています。

 

会社が勝手に給料を下げるのは違法?

結論から言ってしまうと、それは違法です。よくあるケースに、「会社の業績が悪化した」とか「おまえの働きが給料に見合っていない」、「最初に設定した給料が高すぎた」など、はあ?と思うような理由で行われることがありますが、会社が社員の同意なしに一方的に給料を減らすことはできません。

 

そもそも給料を含めた雇用の条件は、働き始める際に会社と社員の間で合意して約束したものなので、その約束を破ることは明らかに法律違反です。もし約束した内容を変えるのなら、再度当事者同士で話し合って合意した内容に書き換えないといけません。上司から「おまえは仕事ができない」などと言われてしまうと、まじめな人ほど自分に落ち度があるとか、自分の能力が低いからしかたないと思ってしまいます。でも法律に反していることなので、会社に対しては応じられないとキッパリ言うべきです。

 

会社の言い分が通る特別な事情

唯一、会社による一方的な給料減額が認められることがあり、次の3つのようなケースが該当します。

  1. 懲戒処分による減給
  2. 職能資格の引き下げによる減給
  3. 配置転換を行った結果としての減給

ただ、このような場合でも、就業規則などで事前の取り決めがあった場合に限ります。事前の取り決めなしで会社がいきなり給料を下げるのはやはり違法です。

 

給料カットにもの申した理由でクビにできない

会社の一方的な給料カットは法律に反しているとはいっても、会社にはむかってクビだと言われたら困るし、、と思ってしまうかもしれません。確かに精神的なプレッシャーはありますが、会社が社員をクビすることは法律上できません。会社の行為自体が違法なので、そのクビも違法になります。

 

同意しちゃったら、受け入れるしかない?

会社側が社員の同意なしに勝手に給料を下げるのは違法だけど、さすがに同意しちゃったら何も言えないでしょ?と思うかもしれませんが、必ずしもそんなことはありません。会社は「本人に同意させてしまえば、こっちのもの」と考えて、個室に呼び出して給料カットの同意書にサインさせようとします。

 

でもこの行為は法律的に言うと、あくまで会社からのお願いごとであって、社員側がサインをする義務はそもそもありません。「ちょっと考えさせてください」と言って一旦保留にできればいいんですが、せまい空間で上司からプレッシャーをかけられると頭の中が真っ白になって、最終的にはサインしてしまうことが多いです。

 

ただ、だからといって給料カットを受け入れないといけないわけではありません。合意が無効になるケースを具体的に3つ紹介します。

1)強迫されて同意した場合

会社側としては力づくでも給料ダウンに同意させたいがために、「同意しないとどうなるかわかったんだろうなー!」と脅かす発言をすることがあります。これはまさしく強迫です。強迫による同意は有効ではありません。また、「同意しないのなら辞めてもらうよ」と迫られることもあります。そんなふうに言われたら「同意しなければクビになってしまう」と考えるのが普通ですよね?事実はどうで、あれクビになってしまうという誤解に基づく同意も無効です。

2)就業規則に反している内容の場合

就業規則など会社との取り決め事項がある場合、その内容に反している給料カットの合意も無効になります。なかなか就業規則を見る機会はないですが、チェックしてみる価値はあります。

3)最低賃金を割る内容の場合

給料カットが行われた結果、給料が時給換算で最低賃金を割ってしまうような内容に関する同意は無効です。そんなことってあるの?と思うかもしれませんが、ブラック企業では少なくありません。契約が無効だということは、その賃金で働いていた期間があれば最低賃金との差額を請求できます。さらに1日8時間・週40時間を超える部分は、時間外割増賃金の請求もできます。これらは過去2年分さかのぼって請求できるので、知っているのと知らないのでは大差です。

 

以上のように給料カットに同意してしまったとしても、その時の状況次第では同意そのものが成立しなくなります。できるだけ同意を求められた時の状況や上司などの発言内容をメモなどに残しておくと、後で自分を守る材料になります。

 

1人で会社と交渉するのが難しいときは?

会社に労働組合があれば相談してみてください、と言いたいところですが、味方になってくれないことが少なくありません。会社が間接的に実権を握っていることが多いからです。そういった場合や労働組合自体が会社にない場合は、社外の労働組合にかけ込むことができます。社外の?と疑問に思うかもしれませんが、「ユニオンと呼ばれる、会社の枠を超えてひとりでも加入できる労働組合」があります。組織の力で異議申し立てをすれば言い分も通りやすくなります。

 

まとめ

会社が勝手に給料を減らすことは違法です。会社が給料カットの同意書にサインすることを求めてきても、サインする義務はありませんが、仮に同意してしまったとしても、そのサインが無効になることもあります。
できるだけ同意を求められた時の状況や上司などの発言内容をメモなどに残し、必要に応じてユニオンと呼ばれる社外の労働組合を味方につけるなどして、会社と交渉しましょう。

スポンサーリンク